いよなん第6号

詩、ことば、文学

10月12日

 気づけば「文フリ東京43」までもう一か月を切っている。

文学フリマ東京43 – 2026/11/8(日)
開催 2026年11月8日(日) 時間 12:00〜17:00(最終入場16:55) 入場料 ¥1,000(前売)・¥1,350(当日スマチケ)・¥1,500(当日窓口)※18歳以下入場無料 ※イープラスでの前売券および …

 「いよなん6号」の編集作業も佳境に入っている。今回のテーマは「楽園」。5号のメンバーから蘆畑礫氏がお休み、入れ替わりに前回お休みだった宮崎由香里氏が復帰して総勢11名は前号と同じ、今回は全員小説を書いている。表紙デザインは小鳥居詩乃氏、組版・デザインは米川東馬氏が担当している。
 内容については、メンバーの一人である藤白ねねさんが、全員分の「あらすじ」を書いてくれているのでちょっとだけ紹介する。

〇えがわりりい「私だけのぱら湯」
せいらは小さいころから母とよく銭湯に来ていた。通称「ぱら湯」と呼ばれるそこは、老いも若きも色々な身体をもつ人が話に花を咲かせる場であり、せいらにとっては母との憩いの場だった。けれど成長と共に、母との時間もせいらの「ぱら湯」も変容していく。

〇小鳥居詩乃「仮初の楽園への片道切符は、」
幼馴染のひかりは安楽死をするらしい。十八歳の成人とともに安楽死が認められるようになった日本で、まだ十七歳の倫は死を望む彼女と最期の会話をする。思い出すのはプラネタリウムの流れ星に「永遠」を願った彼女の姿……。「ああ、ひかり。私は無力なんだね」

〇米川東馬「SUPマスターたち」
故郷の三浦海岸へ帰ってきた大学生のセンは、友人のアミやマリモと共に夏の夜の海へと漕ぎ出す。高校の頃から続けてきた三人だけの秘密の旅。けれどこの夜はひと際特別な旅路となった。僕たちそれぞれの未来の形を確かなものにしてくれたから。

〇小杉美香「はぐくみの絆」
父の自宅介護に疲れ果てた真子がたどり着いたのは、だれもかれもが微笑み合う理想的な介護施設「はぐくみの絆」だった。けれど、何の代償もない平和など存在しないのだ。罪は、甘いあまいアップルパイの形をして真子を誘惑していく。

〇北吉文「散歩」
六十歳間近の僕と同級生のヒョックは、今日も当てのない散歩に出かける。変わった看板とか建物とかを冷やかしたり、美人なあの子のことを思い出したり、恋バナをしてみたり、酒をひっかけたりもして……今日も僕らは笑って彷徨う。

〇藤白ねね「ロータス、ロータス」
高校生の実里は、幼馴染である桃花の家族の一周忌に参加するために、一年ぶりに彼女と再会する。二人の心は相変わらずひとつなのだと、愚かにも信じきったままで。けれど実里の妄信は、蓮の甘い香りと「今」の桃花に少しずつ崩され、形を失っていく。

〇相田羽羊「溜る」
大学八年生の佐田は、漫然と続いていく日々のサイクルを断つために、構内のトイレにこもり、陰毛を刈り取ることに決めた。けれど毛にぶら下がった可愛らしい蟻や、背後で蒸気を上げる炊飯器、ドアの外の襲撃者がそれを阻んでくる。そして佐田は思った。「そうだ、大学をやめよう」と。

〇二瓶佳子「満つるまで」
「この家、処分するから」北村真希、三十六歳、独身、実家暮らし。そんな私の平穏な日常は母の無情な一言によって打ち砕かれた。宙に放り出されたような不安感の中、私は必死に探し求める。私を支えてくれる、私だけの柱を。

〇轟由紀子「流浪のさき」
通いなれた道に馴染みのお店、穏やかな夫と生意気だけど可愛い娘。変わることはないと思っていた真由子の日常は、関西支社への異動話で揺らぎ始める。昇進に繋がる話に周囲は喜んでくれるが、当の真由子はなぜか提案を受け入れきれず……

〇宮崎由香里「渇き」
凛子は献身的な愛を捧げてくれる夫・慶一と理想的で完璧な日々を送っている、はずだった。癒えない渇きを抱え、恋人の直人との逢瀬を止められずにいる凛子。そんな彼女の毎日にひとりの少女が入り込む。その子は慶一と前妻に愛され育った娘・環だった。

〇秋田清「ピンク色の魚」
科学技術と医療技術によって、老若男女を問わず美しい人間を生み出すことが出来るようになった世界。人間とクローンのミックスである銀次は完璧な美しさを持つ女性・理央と交わり夢を見る。それは銀次を銀次たらしめる歪な思い出だった。

 面白いのは、申し合わせたわけでもないのに共通するアイテムが登場したり、世界観が通底していたりする作品があること。かなり密度の濃い一冊になっていると思う。僕は今回初めて近未来もののSF仕立てにしてみた。しばらくこの世界にはまりそうな予感がしている。
各作品については、今回もSNS戦略担当の小鳥居詩乃さんが順次作品サンプルを挙げてくれることになっており、すでに第一弾「はぐくみの絆」がUPされている。

https://note.com/iyonan147/n/n9e046165a4a1?sub_rt=share_pw
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=29349871
https://x.com/iyonan147/status/2108967424389460342?s=20

 さて、「いよなん」は今回、南1-2ホールC-82にブースをいただいている。是非お立ち寄りください。

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