気になる言葉 〇ー1

7月18日

 今夕、相葉雅紀が出演するTV番組を見ていたら、「釜1グランプリ」(かまわんぐらんぷり)というコーナーがあって、視聴者が投稿した釜飯のレシピからナンバーワンを決める企画らしかった。豚汁釜飯やキンパ釜飯など、なかなかおいしそうだったが、ここで話題にしたいのはそこではない。「釜1グランプリ」というネーミングの仕方についてである。
 この典拠が「F‐1グランプリ」であることは間違いないだろう。1980年代後半には、日本国内でF1ブームが起こった。ちなみにこの「F」とは、「フォーミュラ」の頭文字で、参加する自動車が守るべき規格を表している。より下位に位置するレースとして、F2、F3、F4などもある。
 1993年に「K1グランプリ」が始まる。総合格闘技のチャンピオンを決めるというものらしいが、格闘技音痴の僕の興味はネーミングに尽きる。つまり、このKは格闘技のイニシャルを取ったKである(と思っていたら他にも空手、キックボクシング、カンフーなどの頭文字、キングのKでもあるらしい)。格闘技のナンバーワンだからK1。だとするとグランプリの部分は意味がダブる。今では単にK1と言い、グランプリは付けていないようだ。
 ついで、2001年に吉本興業が「M‐1グランプリ」を始める。このMはもちろん,「MANZAI」の頭文字である。翌年には「R-1ぐらんぷり」も始まる。こちらは一人芸で一番面白い芸人を選ぶというもので、Rは、「落語」から来ているらしい。実際には落語に限定してはいないので、ピン芸人ナンバー1なら、「P-1」の方が良さそうに思うのだが。実は当時、既に「P-1」という名は関西ローカルの深夜番組(パチンコ番組)で使われていたのだとか。こうなると名前をつけるのも大変だ。
 話は脱線するが、Jリーグのクラブ名はどうして耳慣れない外国語や、おかしな造語ばかりなのか、気になって調べてみたことがある。アビスパ福岡は、以前は福岡ブルックスといい、前身は静岡県の名門チーム、藤枝ブルックスであった。ベガルタ仙台も、当初は「伊達者」を意味するブランメル仙台という名だった。アルビレックス新潟は、アルビレオ新潟。白鳥座のβ星で、美しい二重星の名である。Jリーグのクラブ名は、商標登録することが求められているのだが、これらの名はすでに登録されていたため、変更せざるを得ず、かつそれまで登録されていないような新奇な名にしなくてはならなかったというわけだ。
話を戻そう。このようにして、本来は規格を意味するフォーミュラを略したF-1から始まって、日本では「○○の中で一番」という意味を、その〇〇のイニシャルを取って表すように変化してきた(だから当然K2だの、M‐3だのはない)。しかし、このやりかたはいずれ行き詰まる。アルファベットは数が限られ、既に使われていたら新しいものは作れないからだ。その問題を見事に打開したのがこの「釜1」方式である。これが最初なのか、以前からあるのかは知らないが、これなら今後も無数に作れる。と同時に最初のF1からは大きく離れ、英字を使うということすら守られていない。それでもニュアンスは通じる。なんでも「かまわん」というダジャレの落ちまでついている。

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