「八ヶ岳高原ロッジ」

旅、人物

 11月1日から3日にかけて、蓼科・八ヶ岳高原に小旅行に行った。関東地方から蓼科へ行くには、中央道の諏訪ICで降りるのが早いが、僕はいつも三つ手前の長坂ICで降りる。そこから清里高原大橋を経て清泉寮に寄り、天女山入口から八ヶ岳高原ライン、八ヶ岳鉢巻道路を走って蓼科に向かうのである。八ヶ岳高原ラインはカラマツの紅(黄)葉が美しいのだが、今年はやや早い感じだった。鉢巻道路は広葉樹の紅葉が見事だが、この頃には雨が本降りで景色を楽しむ余裕はなくなってしまった。
 翌2日は快晴。まず、御泉水自然園に行こうと思った。蓼科牧場からゴンドラリフトで登った上の眺望がすばらしいからだ。だが、そこに向かう手前の「夕陽の丘」に車を停めると、北アルプスの穂高・槍連峰がくっきり。もう今日はこれで充分とばかり、引き返すことにした。蓼科湖の道の駅で休憩。見事な紅葉を見てから、原村の「たてしな自然農園」に向かう。ここは珍しい野菜や果物、加工肉に花卉まで「なんでもある」ので、土産というよりは本気買い。ここから鉢巻道路、高原ラインを昨日とは逆に清里方面へ。富士見高原にかかると、その名の通り雪をかぶった富士が大きく見える。二日続けて清泉寮。富士を見ながら名物のソフトクリーム(450円)を食べる。昨日はさすがに寒くて食べる気になれなかった。進んで甘いものを食べる方ではないが、ここのソフトクリームは美味だ。

南牧村へ。野辺山の電波天文台や、小海線のJR最高地点が近いが、今回はパス。この日は海の口自然郷の「八ヶ岳高原ロッジ」に泊まる。プチブル(死語?)趣味と言われそうだが、大好きな宿である。設備もよく、食事もおいしい。あたりの散策も楽しい。近くに元徳川義親邸を移築した「八ヶ岳高原ヒュッテ」がある。田宮二郎が主演したドラマ「高原へいらっしゃい」の舞台だ。以前ここへ来た時書いた詩。

高原

小さな鳥が/落葉松の落ち葉に/つまずきながら/歩いている
(ジョウビタキかエガラか/かれは鳥の名にくわしくない)
そのおどるような仕草をかわいいと/かれは思う
(なぜそう感じるのか/かれが考えることはない)
見ているうちに/それはつっと飛びたち/白樺の枝に画された/とても小さな青空に消えた
(鳥がどこへ消えたのか/かれは知らない)
鳥が消えたのは/この世界の裏側/暗い闇の中か/真っ白な虚無か

起伏のあるみちを歩いていると/きゅうに遠くの山並みが見える/あんなに遠くの山が見えるのは/なんだか不思議だと/かれは思った
(もちろんかれは/その山々の名前も知らない)
冷たく爽やかな空気を/胸いっぱいにかれは吸いこむ/すべての臓器 からだの隅々まで/力がみなぎるのを感じる
(そして何年か後になって/かれが病に侵されていたことが/わかる時がくるとしても/それはこの世界の話ではない)
明るく晴れた空に/いくすじかの雲がたなびいている/静謐と安寧と/かれの世界はいま/全き幸福に満ちている

八ヶ岳ヒュッテ

 朝日新聞のマリオンという懸賞欄で、この宿の無料招待というのが出ることがある。まあ、当然はずれるのだが、往復はがきで応募するともれなく優待券がもらえるのだ。今回はその優待券に加え、先着10室までという南牧村の宿泊助成を受けることが出来た(手続き等は一切不要)。これだけでも随分有り難いが、宿から電話があり、ワクチン接種証明書を提示すれば政府の旅行割も受けられるという。結果、一泊2食22,000円のところ、優待で19,000円、そこから南牧村の助成で5,000円、旅行割で5,000円割引となり、一人9,000円で宿泊、さらに3,000円分の買い物クーポンまでついた。これには恐縮を通り越して後ろめたいような気分になった。僕はもともと「GO TO ○○」のような政策には反対だったからである。本当に困窮している人には届かない支援だと思うから…。
 ともあれ、翌3日も快晴。サンメドウズ清里スキー場のリフトで「清里テラス」に行く。ここも素晴らしい眺め。天女山入口まで戻り、紅葉が美しい「八ヶ岳俱楽部」(先ごろ亡くなった柳生博が開設した施設)のそばを通って、長坂ICへ。リフレッシュできた3日間だった。

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