7月14日
今回は、いつものうんちく話ではなく、感想や意見記事でもない。紹介であり、なんなら「宣伝」である。
僕は、高校時代には文芸部に所属して、部誌に小説などを書いていた。大学時代には詩の同人誌のようなものを作っていたこともある。が、その後は一切文芸サークルのようなものに関係したことはない。「オレは『群れない』人間なのだ」などとよくうそぶいていた。そんな僕が今度、「いよなん」という作家グループに参加することになった。「いよなん」とは何ぞや? その話をする前にここに至った経過について説明する。
きっかけは、例によって畏友Kこと、北吉史である。もともと詩なんか一つも書いたことがなかった僕に詩を書かせたのが彼なのだ。その彼は長く建築関係の仕事をしていたが、「第二の人生」の開始にあたり、何を思ったか突如シナリオの書き方を学ぶ学校に通い始めた。なんでも「物語への興味」を思い出したのだそうだ。そしてそこで知り合った仲間と同人誌を作って、「文フリ」で売るから見に来いという。僕は「文フリ」が何かも知らなかった。
「文フリ(文学フリマ)」というのは、いうなれば「コミケ(コミックマーケット)」の文学版であるという。「コミケ」ならTVのニュースで見たことがあった。
その開催当日の5月19日、東京モノレールで会場の東京流通センターに赴いた僕は驚愕した。なめていた。駅からなかなか出られない程の混雑。TVで見るコミケよりはコスプレの人は少ないが、それでも皆さんなかなか個性的だ。こんな景色、見たこともなかった。文学好きなら人後に落ちないつもりの僕だが、こんなにも多くの人が「文学」を求めて集まってくるような世界があるとは、思いもよらなかったのだ。なんでも前回までは入場料を取っていなかったが、今回からは1,000円の入場料を取ることにしたそうだ。それでもこの人の多さ。これはもう少し報道されてもいいのではないかと思う。
あまりの人の多さに、会えないのではないかと危惧したが、なんとかKと会い、同人誌を購入することができた。同人誌の主宰者である毛石氏ともお会いすることができた。彼女には事前にKを通じて僕の詩集を渡していた。
さて、ここでようやく「『いよなん』とは何ぞや」に戻るのだが、毛石氏率いる作家グループ(正確には作家の卵だが、中にはライターとして活躍している人もいる)の名前で、文フリに合わせて創刊した合同誌の書名でもあるのが「いよなん」なのである。名前はシナリオ・センター(通称シナセン)の第147期卒業生を中心にしていることにちなむ。次回、12月1日の文フリに、第2号を刊行すべく先ごろ再起動し、そこに僕も参加させていただいたという訳だ。
シナセンに縁もゆかりもない僕などが入っていいものか。毛石氏は「147期だけならイヨナでしょう。さいごに「ン」をつけたのは広い人材を受け入れるし、輩出するという意味を込めている」と言った(と思うのだが、酒の席の話だったので正確には覚えていない)。そうはいっても僕以外の全員がシナセン関係者なので、アウェイの雰囲気になると覚悟していたのだが、全くそんなことはなく皆さん温かく迎えて下さった。最年長は63歳のK(と僕)、最年少は25歳と年齢もバラバラだが、みんな文学への熱い思いを持った人たちだ。なんだかこちらまで若返ったような気がした(あくまで「気」だが)。
手元にある「いよなん創刊号」がまた、美しいのである(表紙写真はアイキャッチ画像に)。この装丁、デザインを一手に引き受けているのが芦畑礫氏で、突破力のある毛石氏と両輪でグループを牽引している感じだろうか。これから、新参者の僕も含めた計13人で、12月1日の文フリ(東京ビッグサイト)に向けて、第二号を作っていくのである。応援よろしくお願いします。
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