4月14日
妻が知人から蕗をもらってきた。早速粗塩をまぶして板摺りし、茹でて冷水にとり、薄皮をむく。こういう単純作業が、なぜか僕は好きだ。薄皮をむいた蕗はまるで翡翠のように美しい(翡翠をじっくり見たことなどないが)。
今日は季節が一か月以上逆戻りの寒さ。夜はこれを使って「アスパラと蕗の牛鍋」を作ることにする。鍋と言えば酒、今日は本来休肝日なのだが、それは明日に回そう。こういう習慣を続けるには融通無碍さも大事だ。
二人前の材料。グリーンアスパラ二束、ピーラーで根元の皮をむき、穂先をやや長めに三つに切る。根元は太ければタテ二等分にする。600ワットのレンジに1分かける。筍穂先の水煮(トップカットという名で売っている)は太いところは2ないし3等分し、さっとボイル。油揚一枚はこれもさっとゆでて油抜きし、短冊切り、ぶなしめじ100gはほぐす。
薄く油を引いたすき焼き鍋(なければフライパン)に、アスパラ、蕗、筍、しめじ、油揚げを敷き詰める。その上に牛肉200g(切り落としで充分)を広げ、さらにその上にクレソン一束を載せる。昔、週刊朝日に連載されていた、森瑤子の「デザートはあなた」に、クレソンのすき焼きというのがあって憧れたが、当時はクレソンはいつでも手に入るというものではなかったし、今より高価だった。以来、いつかやってみたいと思っていたのだった。
次に割り下を作る。水一合(180ml)に濃口醤油大さじ2、薄口醤油大さじ1、酒大さじ2、味醂大さじ1、砂糖小さじ1、削り節適宜を入れて一煮たちさせ、削り節を除く。これを全体に回しかけ、火にかけて、肉に火が通れば食べられる。美味美味。
ある程度食べ進めたら、再び沸騰させ、溶き卵二個分を入れて蓋をし、火を止めて蒸らす。これをご飯にかけて、締めとするというわけ。
この割り下のレシピは、かなり甘みを抑えてあるので、甘いのが好きな人は砂糖なり味醂なりを増やせばよい。ただし、あまり濃くしないのが肝要。鍋に限らず、日常の食事では、食べ終わった時点で「ああ、美味しかった、また食べたい」となるのが良い。TVのグルメ番組でよくあるような、一口で「うまーい」というのだと、食べ進めるうちに「もういいや」となってしまうのだ。「ハレ」の日ではない、日常の食事で大事なのはそこだと僕は思っている。
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