目のはなし③ 白内障手術のその後

食、趣味、その他

9月30日 

 8月30日に白内障の手術を受けて一か月が過ぎた。この間のことを振り返ってみる。手術翌日から3種類の目薬の点眼を開始。ガチフロ(抗菌剤)とリンデロン(消炎剤)は朝昼夕と就寝前の4回、ブロナック(消炎剤)は朝と就寝前の2回である。目の周りに溢れた液は滅菌の清浄綿で拭く、それぞれ5分間隔を開けるなど細かい注意書きがある。滅菌ガーゼをたくさん買い込んだ。抗生剤(3日分)の方は飲みきり終了だが、点眼はなくなるまで続けなくてはならない。
 通院は3日後、1週間後、2週間後、1か月後だが、その間行動制限がある。まず手術翌日から顔を濡れタオル等で拭くのはOK、首から下のシャワーもOK。3日後には髭剃りもOK。散歩もしてよい。困ったのは洗髪。美容院で仰向けでの洗髪なら良いが、自分での洗髪は1週間禁止だという。僕は美容院になど行ったことがない。妻が行きつけの美容院に頼んでくれると言うのを断わった。若い男の子ならともかく、こんな髪の寂しいオヤジが美容院なんて、恥ずかしくて僕には絶対無理だ。
 食事の制限は一切ないのだが、飲酒は一週間禁止とのことでこれも辛い。過去一番長い禁酒でも三日ほど、その先は僕にとって未知の領域なのだ。三日飲めなかったときは、眠ろうとすると自分の体の上に何者かが乗っかっているような胸苦しさがあり、これは邪悪なものに違いないと確信させるような幻覚が見えた。明らかな禁断症状である。
 体は市販の制汗ボディーペーパーなるもので拭いていたが、配合されたメントールが強くて拭いた後寒くて困った。髪はこれもドライシャンプーシートなるもので朝晩二回拭いた。二日目の夜にはもうかゆくてたまらなくなった。3日後の診察の際、おそるおそるお伺いを立てると、経過も良好なのでもう入浴して自分で洗髪してもよいとのこと。さらに飲酒も(深酒しなければ)いいでしょうとお許しが出た。これは本当にうれしかった。
 手術の後では、眼鏡の度数が合わなくなることが多いと聞いていたのだが、僕の場合は全く問題なかった。ただ、2週間が過ぎた頃から手術した右目に飛蚊症の症状が出始めた。飛蚊症というのは黒い虫のような異物が、眼球を動かすのにつれて動いて見える症状のこと。以前にも出たことがあったが、急に強く出始めたのである。白内障の手術で視界がクリアになると、それまで自覚していなかった症状が強く出ることがあるらしい。主治医は特に心配な状況ではないという。まあ、定期的にチェックはしてもらっているので大丈夫だろう。そして、不思議なことにこの症状は1週間ほどで消えてしまった。
 以前も書いたことだが、水晶体が人工のレンズに変わっても以前と変わらずに見えているのは、脳が活躍しているからだ。レンズの濁りが取れたことで一時的に飛蚊症が強く出たが、脳の補正機能が働いて消してくれたということなのだろう(飛蚊症は自然治癒しないと言われている)。
 一体、我々が見ている像は、脳が補正したものなのである。屈折望遠鏡を覗いたことがある人はわかるだろうが、対物レンズが結ぶ像は倒立している。双眼鏡が正立して見えるのはプリズムを内蔵していているせいだが、ヒトの目にはそんなものは備わっていない。(余談だが、映画やドラマでは双眼鏡を覗くと8の字を横倒ししたような視野が映ることがあるが、これは間違い。双眼鏡の視野は真円だ。)
 鏡に映る映像は左右反転なのに、なぜ上下は反転でないのかも不思議と言えば不思議だ。目が左右二つだからという人もいるが、片目で見ても上下は反転しない。いろんな説明はあるが、分かったようで良くわからない(またまた脱線してしまった)。
 点眼薬は、ガチフロは使いきって終了。リンデロンがなくなったところでフルオロメトロン(抗炎症剤)に替わり、これは一日三回。ブロナックはもう一本処方され、三か月続けるとのこと。最近はだいぶ上手く点せるようになった。

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