国会議員って偉い?

食、趣味、その他

4月25日

 事は旧聞に属するが、静岡県知事が差別発言を批判され、辞任することになった(本人は別の理由を挙げているようだが)。
 「県庁というのはですね、別の言葉でいうと、シンクタンクです。毎日毎日野菜を売ったり、あるいは牛の世話をしたり、あるいは物を作ったりということと違ってですね、基本的に、その、皆様方は頭脳、知性の高い方たちです。ですから、それを磨く必要がありますね。で、それは磨き方、色々あります。知性を磨くということ、それからですね、やっぱり感性を豊かにしなくちゃいけない。体がしっかりしなきゃいけませんね」
 この手の人たちは、誰かを持ち上げるために、必ず誰かをくさす。だから差別とか暴言とかという批判を浴びることになるのだ。これなど「県庁はシンクタンクだから、そこで働く人たちには高い知性が要求される、そして感性を磨く必要がある。体力も必要だから健康にも気を使わなくてはならない」ぐらいに言っていれば何の問題もなかったはずだ。
 高い知性や教養が必要とされる職業というものは実際に存在する。
 政治家はどうであろうか。4月20日の朝日新聞BEに「国会議員って偉い?」というアンケートの結果が掲載されていた。「知性」とは微妙に切り口が違うかも知れないが、知性が高い人は一般的には尊敬されるだろう。結果は「はい(偉い)」11%、「いいえ」89%。
 考えて見れば、いわゆる三権のうち、司法に携わるためには司法試験、行政のトップになるには国家公務員Ⅰ種試験などの難関をくぐらねばならないが、立法にはそれがない。選挙で選ばれた国民の代表だからという事なのだろうが、実際には真に優秀で尊敬すべき人が選ばれるシステムになっていないのではないか。それが先のアンケート結果につながっているのだろうと思う。
 このアンケートの自由意見の中で、父が地方議員だという男性(59)が、「近寄ってくる支持者や有権者のずるく汚い面を、子供の頃からずっと見てきた。批判される政治家を見て留飲を下げるだけでなく、有権者のレベルを反映した政治が存在していることを、有権者はもっと理解すべきだ」と述べていた。
 僕が大学四年生の頃(41年前になる)、バイト先の零細の印刷会社の社長が、僕が東京都の教員採用試験を受けていることを知って、「知り合いに都議がいるから口利きを頼んでやろうか」と言ってきたことがあった。もちろん断ったし、そんな「口利き」が選考結果に影響するとは思えないが、こういう発想がなかった僕は大変驚いた。そしてこれは、「商売」をしている人にとっては、ごく普通の感覚なのだ。
 現在、裏金問題で支持を落としている岸田内閣と自民党だが、問題は何一つ解決していないのに、ここへ来て各種調査で支持は微増に転じている。いわゆる岩盤支持層がいるからだが、こういう人たちは、政府与党と「ウィンウィン」にあるので、そもそも改革など求めていない。自民党の長年の利益誘導型政治の結果であろう。このシステムを変えない限り、小手先の改革をしても結局元の木阿弥になるのは見えている。
 国政選挙の選挙戦の報道などを見ていると、候補者が「過去〇年間、私は○○県のために誰よりも尽くしてきました」とか「○○市の未来のために、どうか私を国会に送ってください」とか言っているのをよく聞く。僕に言わせれば、こんなことを言っている時点で、すでに国会議員たる資格はない。憲法第四十三条1項に、「両議院は、全国民を代表する選挙された議員でこれを組織する」とあるように、国会議員はあくまで「全国民の代表」であって、特定の地域の代表ではないからである。
 地域の代表ではなく、全国民の代表に出来るだけ近づけるためにも、「小選挙区制」は廃止すべきである。中選挙区に戻すとともに、一度当選した選挙区からは続けて出られないことにすべきだ。他にも知恵はあると思うが、とりあえず、地域と国会議員を切り離すにはまず入口の改革が必要だと思う。

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