8月14日
急転直下という感じで、月末に右目の白内障手術を受けることに決まった。
3Dアートというのだろうか(正式な名称は知らない)、ぼんやり眺めていると立体的な図形が浮かび出てくる絵がある。僕はこれが割と好きなのだが、久しぶりにやってみたら全く図形が見えてこないのだ。試しに片目ずつ見たら、右目が見えていないことに気づいた。光や色、大まかな輪郭などは見えているのだが、細かい模様などは全く見えない。これでは立体視など出来るはずもない。右目だけでは文字もほとんど読めていないことに気づいた。
「本の虫」なので、子どもの頃から目は酷使してきた。強度の近視の為、小学校6年から眼鏡だった。正確には、僕は本の虫というより活字中毒なのだと思う。視界に文字があると読まずにはいられない。それで困るのが満員電車で、さすがに他人のスマホはなるべく覗かないようにしているが、それでも目に入れば読まないわけにはいかない。新聞や本は躊躇なく読む。見られているのに気づいて露骨に厭な顔をされることもあるが、こればかりは仕方がない。困るのは読むスピードが違うので、こちらは早く続きを読みたいのになかなかページをめくってくれなくてイライラすることだ(脱線した)。
40代になるとすぐに今度は老眼になった。腕時計のカレンダーの数字が読めない。授業をしていても、教科書の本文の活字は読めるが、脚注は活字が細かくて読めない。そこで遠近両用眼鏡になった。学校では生徒の眼科検診はあるが、職員の検診に眼科はない。たまには眼圧などチェックしてもらった方がいいと言われ、5年ほど前に近所の眼科クリニックに行くと、右目の白内障が分かった。幸い左目は何ともなく、右目も矯正で0.7くらいの視力はあったので、以降は定期的にチェックすることになった。それが、この夏になって急激に濁りが進行したようだ。主に視界の右側が、白い紗幕がかかったような感じに見える。だが、これほど視力が落ちている自覚はなかった。
診察の結果、やはり「老人性」白内障のため、右目の視力は眼鏡をかけても0.2しかないということだった。こんな目で車の運転などしていたのかと思うとぞっとする。医師から手術を提案された。水晶体を包む袋に切れ目を入れ、濁った水晶体を取り除き、眼内レンズを入れて固定する。眼内レンズは保険が利く単焦点のもの。縫合の必要もなく通例20から30分で終わり、日帰りできるという。だが当然とはいえ最悪の事態等の説明もされれば、どうしても不安になってしまう。僕はこの年まで手術を受けた経験がないのではっきり言って怖いのである。それでも今後のことを考えて受けることにした。予定日の三日前から感染防止のための点眼を指示され、処方箋をもらってこの日は帰った。お盆明けには小旅行に行くつもりだったがキャンセルした。運転も怖いが、手術を控えているのに、コロナなどの感染症に罹患するわけにもゆかない。
…その晩夢を見た。なぜか目医者の看板ばかりがある街を「シリツ、シリツ」と叫びながらさまよっていた。「ねじ式」の世界である。するとなぜかゾンビのような異形のものどもが追いかけてくる。「サンゲリア」(これは邦題で、原題は文字通り「ZOMBIE」)ではないか。確かこの映画にはゾンビに襲われた女が眼球を木片で串刺しにされるシーンがあったはず。縁起でもない夢を見てしまった…というのはもちろんウソで、こんなわかりやすい悪夢を見るはずがない。元々僕は夢を見てもほとんど覚えていない。何やら重苦しい夢だったというだけだ。(手術とその後については、いずれまた稿を改めるつもり。)
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