酔生夢死

詩、ことば、文学

「静かな生活」①

2月2日 先月、日本映画専門チャンネルで伊丹十三の没後25年を記念して、長編映画全十作品の一挙放映があった。そこで、「静かな生活」を録画して何度か繰り返して見た。伊丹には義弟にあたる、大江健三郎の連作短編集を原作とした映画である。 大江健三...
詩、ことば、文学

いわゆる「差別語」について

1月27日 高校の国語教科書の定番教材に、芥川龍之介の「羅生門」がある。主人公の下人が羅生門の楼に上がると、そこにはおびただしい数の人の死体が打ち捨てられており、その死体たちが「永久に、唖(おし)のごとく黙っていた」という表現がある。この箇...
歴史、古文書

「新しい戦前」

1月24日 タモリが、今年は「新しい戦前になる」と言った。僕は見ていないが、報道によれば昨年末の「徹子の部屋」で、来年はどんな年になるかという問いにそう答えたのだという。司会の黒柳徹子はそれ以上質問せず、タモリもそれ以上は何も言わなかったと...
詩、ことば、文学

横溝正史の「エログロ小説」

1月16日 書店で、横溝正史の「吸血蛾」を見つけて買った。没後40年記念として角川文庫から復刊されたものだ。巻末の編集部の注意書きが目を引く。そのまま引用すると、「なお本文中には、変性男子、びっこ、浮浪者、薄野呂、狂気、気が狂う、気ちがい、...
食、趣味、その他

ディレッタントという生き方

年頭にあたり、来し方を振り返ってみた。自分の生き方(行き方)を考えた時に、「ディレッタント」という言葉が思い浮かんだ。
食、趣味、その他

鼻歌を楽譜にするソフト IT弱者、シンガーソングライターライトを使ってみる。②

12月29日 「鼻歌を楽譜に出来るソフトの話」(11月24日)の続き。楽器が何もできず(唯一出来るのは小学校でやった縦笛=リコーダーだけ)、譜面の読み書きもできない僕がコンピュータの力を借りて作曲できないものかと思い、「シンガーソングライタ...
詩、ことば、文学

道徳の時間と「銀の匙」

12月24日 昨日の朝日新聞「声」欄に、「道徳の授業に正解はあるのか」という、高校生からの投稿が載っていた。彼女は小学生の頃の「道徳」の授業の思い出を綴っている。友達と大喧嘩した主人公がその友達から仲直りを持ちかけられるというシチュエーショ...
詩、ことば、文学

気になる言葉「いやし」

12月20日 「いやし」という言葉が苦手である。もちろん「癒やし」のことだが、この言葉を聞くと脳が勝手に「卑し」と変換してしまう。実際、僕が最も信頼している辞書である、小学館の国語大辞典には、「卑し」はあるが「癒やし」は載っていない。手近の...
詩、ことば、文学

うでたまご

12月12日 冷蔵庫の中の卵が(生での)賞味期限を過ぎてしまっていたのでまとめて茹でた。その時ふと、「子どもの頃は『うでたまご』といっていたなあ」と思った。両親や周りの大人たちが普通に使う言葉だった。母は、ほうれん草や枝豆も「うでる」と言っ...
音楽、絵画、ドラマ

「ブレードランナー2049」

12月9日 BSNHKで「ブレードランナー2049」をやっていたので録画して見た。気にはなっていたが未見だった映画だ(以下、この映画と、前作の「ブレードランナー」及びその原作小説のネタバレを含む)。 「ブレードランナー」は僕が偏愛している映...