詩、ことば、文学

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「鵼の碑(ぬえのいしぶみ)」まで②

10月10日  「百鬼夜行シリーズ」の新作を読む前に、過去作を順に読み返した。9月17日の投稿時は「絡新婦の理」を読んでいる途中だった。その後、「邪魅の雫(じゃみのしずく)」まで読み、満を持して「鵼の碑」も読み終えた。ここで改めて感想を書い...
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「鵼の碑(ぬえのいしぶみ)」まで

9月17日  京極夏彦の新作「鵼の碑」が刊行されるというので、シリーズ第一作の「姑獲鳥(うぶめ)の夏」から読み直している。今は五作目の「絡新婦の理(じょうろうぐものことわり)」を読んでいるところだ。実に面白い。読み始めると、一瞬にして初めて...
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気になる言葉「風評」

8月28日  この言葉を「小学館国語大辞典」で引くと、「世間であれこれ取り沙汰すること。また、その取り沙汰。評判。うわさ。風説」とある。ここで注意してほしいことは、ここには特に価値判断は含まれていないということだ。他の辞書も見ると、個性的な...
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詩とは何か

7月14日  「自称詩人」などと言っている僕だが、自分が書いているものが「詩」であると言い切る自信はない。そもそも何が詩で、何が詩でないのかよくわからない。 優れた詩とは暗唱できるものだという人がいる。僕も昔読んだ詩のうち、中原中也あたりだ...
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小説の愉しみ

7月7日  村上春樹のごく初期の短編に「納屋を焼く」という作品がある。こんな話だ(ネタバレ)。「僕」はひとまわり近く若い「彼女」と知り合いの結婚パーティーで会い、仲良くなった。具体的には書かれていないが、この「仲良く」にはもちろん性的な意味...
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「溝ノ口」か「溝の口」か「溝口」か?

6月27日  音訳を始めてから、地名や人名などの固有名詞が以前より気になるようになった。難読の地名や人名、所謂キラキラネームなどよりも、ありふれた文字で読み方が幾通りもあるものの方が厄介だ。地名だと、「町」はマチかチョウか、「山」はヤマかサ...
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気になる言葉「不倫」

6月17日  今や五才児でも知っている(?)「フリン」だが、僕がこの言葉を初めて知ったのは多分大学卒業よりも後だと思う。勿論、打消しの助字「不」に倫理の「倫」だから、字面さえ見れば「道徳に反すること」だくらいはわかる。が、そんな言葉を見たり...
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気になる言葉「~ぶり」

6月12日  この言葉は「気になる」というより、使うたびにいつも正しいのか不安になる。同じメンバーで年一回開催している会合があり、コロナ禍で休止していたのだが先日復活した。これを「○○ぶり」と言うべきか一瞬迷った。パスしたのは2回だが、前回...
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「街とその不確かな壁」を読む

5月31日  僕は村上春樹の良い読者であるという自信はないが、とりあえずこれまで刊行されたすべての長編小説と短編集を読んでいる。ノンフィクションの「アンダーグラウンド」と「約束された場所で」も読んだ。最近では読み終えるたびに次はもうやめよう...
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気になる言葉「任用」

3月25日  「再雇用警察官」というTVドラマが(原作小説も)ある。高橋英樹扮する、窓際部署に配属された「再雇用」の元刑事が、持ち前の洞察力と現役時代に築いた人脈を使って鮮やかに難事件を解決するというお話。ただし勿論これはフィクションだ。な...