詩、ことば、文学

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横溝正史の「エログロ小説」

1月16日 書店で、横溝正史の「吸血蛾」を見つけて買った。没後40年記念として角川文庫から復刊されたものだ。巻末の編集部の注意書きが目を引く。そのまま引用すると、「なお本文中には、変性男子、びっこ、浮浪者、薄野呂、狂気、気が狂う、気ちがい、...
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道徳の時間と「銀の匙」

12月24日 昨日の朝日新聞「声」欄に、「道徳の授業に正解はあるのか」という、高校生からの投稿が載っていた。彼女は小学生の頃の「道徳」の授業の思い出を綴っている。友達と大喧嘩した主人公がその友達から仲直りを持ちかけられるというシチュエーショ...
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気になる言葉「いやし」

12月20日 「いやし」という言葉が苦手である。もちろん「癒やし」のことだが、この言葉を聞くと脳が勝手に「卑し」と変換してしまう。実際、僕が最も信頼している辞書である、小学館の国語大辞典には、「卑し」はあるが「癒やし」は載っていない。手近の...
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うでたまご

12月12日 冷蔵庫の中の卵が(生での)賞味期限を過ぎてしまっていたのでまとめて茹でた。その時ふと、「子どもの頃は『うでたまご』といっていたなあ」と思った。両親や周りの大人たちが普通に使う言葉だった。母は、ほうれん草や枝豆も「うでる」と言っ...
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ワールドカップと「羊の歌」

11月30日 ワールドカップサッカーの初戦で日本代表がドイツに勝利した後、TVの女性コメンテーターが「すごい優勝候補に勝つと、結構次は負ける」と発言して物議をかもしたという。彼女は元バドミントンの選手で、自分の経験を語っただけなのだが。その...
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3冊の「のろわれた沼の秘密」

10月29日 「のろわれた沼の秘密」という本のことについては、過去に二回書いた。僕が小学校一年の冬、初めて読んだ本格的な「本」。少年少女向けとはいえ、二段組み、200頁の本を読むのは7歳の子どもには難しかったはずだ。なんとか読めたのはほとん...
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一人称単数の代名詞

英語など多くの言語には自分を表す「一人称単数」の代名詞は、基本一つしかないが、日本語には無数にある。そのことの意味を(少し)考えてみた。
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「汝、星のごとく」を読む

10月11日 凪良ゆう著「汝、星のごとく」を読んだ。この著者の本を読むのは本屋大賞を取った「流浪の月」以来、二冊目である。前作でも感じたが、この人は文章が上手い。達意の文で、かゆいところに手が届くという感じで、しかも無駄がない。難解なところ...
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バックラッシュ

10月6日 9月29日の朝日新聞論壇時評「進まぬ性教育 知識こそ性加害減らす手段」で、東大大学院教授の林香里が「日本の学習指導要領には『妊娠の経過は取り扱わない』という通称『はどめ規定』と呼ばれる特異な規定があり、学校では『性交』について教...
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「ルポ 誰が国語力を殺すのか」を読む

8月19日 「ルポ 誰が国語力を殺すのか(石井光太著)」という本を読んだ。「少年犯罪から虐待家庭、不登校,引きこもりまで、現代の子どもたちが直面する様々な問題を取材してきた著者が、教育問題の深奥に迫る」とあっては(元)国語の教員として読まな...